中国越境EC規制・審査

「海外ブランド」「原装進口」はどこまで本当か — 越境ECで問われる"出所"の透明性

更新 約6分で読めます監修:株式会社エフカフェ 越境EC事業部

この記事の要点

「原装進口」などの表示は必ずしも実態を保証せず、出所を丁寧に示せることが強みになります。

  • 報じられた手口:中国国内のOEM工場で作った商品を、保税倉庫経由で再輸入して「原装進口」と売る手口です。
  • 起きた背景:報じられた保健食品では、個人自用物品として要件の多くが免除されるなか、出所や製造主体の確認が課題になっていました。
  • ブランドの対応:製造元・原産地・輸入経路を正確に表示し、誇張した「海外」演出に頼らず、事実の積み重ねで信頼を築きます。

越境ECの売り場には、「海外ブランド」「原装進口(海外からの正規輸入)」をうたう商品が数多く並びます。しかし近年、中国のCCTV(央视)1などの調査報道で、実際には中国国内で生産された商品を「輸入品」に見せかけて販売する手口が相次いで明らかになりました。問われているのは、その商品が「どこで・誰によって作られたのか」という出所の透明性です。本記事では、何が問題になったのか、なぜ起きたのか、そして正規に越境ECへ取り組むブランドが何を意識すべきかを、食品に限らず越境EC全般の視点で整理します。

何が問題になったのか:「輸入を装った国産品」という手口

香港などに会社を登記し中国国内のOEM工場で作った商品を、保税倉庫経由で再輸入して原装進口と売る手口です。

CCTVの調査報道などで指摘されたのは、書類上は「輸入品」でありながら、実態は中国国内で生産された商品が流通していた、という構図です。報じられた手口を分解すると、次のような流れになります。

ステップ内容
① 海外に「器」を用意香港など海外に会社やブランドを登記し、「海外ブランド」の体裁を整える
② 実際は国内で生産商品そのものは中国国内のOEM工場で製造する
③ 保税倉を経由して"輸入"化一度輸出し、保税倉庫を経由して再輸入することで「越境EC=輸入品」の扱いにする
④ 「原装進口」として販売「100%海外直采」「原装進口」と訴求し、本来より高い価格帯で販売する

つまり、通関の書類上は「輸入品」でも、中身は国内生産という商品が「海外ブランド」として売られていたわけです。価格は実態よりも大きく上乗せされていたと報じられています。

「輸入を装った国産品」という手口。通関の書類上は:香港など海外に会社やブランドを登記し、「海外ブランド」の体裁を整える。一度輸出し、保税倉庫を経由して再輸入することで「越境EC=輸入品」の扱いにする。中身は:商品そのものは中国国内のOEM工場で製造する。「100%海外直采」「原装進口」と訴求し、本来より高い価格帯で販売する。通関の書類上は「輸入品」でも、中身は国内生産という商品が「海外ブランド」として売られていたわけです。

なぜ起きたのか:越境ECの「緩さ」と「輸入=高品質」の心理

報じられた保健食品では、要件の多くが免除される越境ECの扱いと、輸入品への信頼が利用され、出所の確認が課題になりました。

背景には、越境ECという仕組みの特性があります。越境ECの商品は「個人が自分用に購入した輸入品(個人自用物品)」として扱われ、中国国内での製品登録や中国語ラベルなど、通常の輸入貿易で求められる要件の多くが免除されてきました。報じられた保健食品の事例では、記者が通販サイトから生産地や生産者の情報を得られなかったとされ、出所や製造主体の確認が課題になっていました。

そこに「輸入品=高品質で安心」という消費者心理が重なります。海外ブランドというだけで信頼され、価格も受け入れられやすい。この心理を逆手に取れば、出所を偽る余地が生まれてしまう——というのが、一連の問題の根にある構図だと考えられます。中国EC全般の規制の考え方は中国EC 法規制・コンプライアンスでも整理しています。

他のカテゴリでも起こり得る

報じられたのは保健食品ですが、他のカテゴリでも同じように出所の確認が課題になる可能性があります。

「海外ブランドを装う」という問題は、報道されたのは健康食品(保健食品)ですが、他のカテゴリでも同様に出所の確認が課題となる可能性があります。考えられる類型を整理すると次のとおりです。

  • 海外に名目上のブランド・会社だけを置き、中身は国内生産
  • 海外での認証や受賞歴を、実態以上に演出する
  • 「原装進口」「100%海外直采」といった表示と、実態が乖離している

いずれにも共通するのは、「どこで・誰が作っているか」が消費者から見えにくいという点です。保健食品以外の越境ECブランドにとっても、他人事とは言い切れません。

なぜ「出所・製造主体の透明性」が重要なのか

出所が不透明な商品が増えると不信は正規事業者にも広がり、逆に出所を示せることが信頼を勝ち取る差別化要因になります。

出所が不透明な商品が増えると、消費者の不信は売り場全体、ひいては越境ECという仕組みそのものに広がります。まじめに正規の輸入・製造を行っているブランドまで、「越境ECは少し怪しいのでは」という目で見られかねません。これは正規事業者にとって見過ごせないリスクです。

裏を返せば、どこで・誰が作り、どのような経路で輸入しているのかをきちんと示せること自体が、これからの越境ECで信頼を勝ち取る差別化要因になります。実際、中国の規制当局も、越境EC輸入品について責任の所在を明確化する方向へと動いています。出所と責任の透明化は、消費者の信頼の面からも、規制の面からも、今後さらに重視されていくテーマだと言えるでしょう。

正規に越境ECへ取り組むブランドがすべきこと

製造元と原産地と輸入経路を正確に表示し、誇張した海外演出に頼らず事実の積み重ねで信頼を築くことが出発点です。

では、信頼される売り場をつくるために、ブランド側は何を意識すればよいのでしょうか。特別なことではなく、事実を正確に示すという基本の徹底が出発点になります。

  • 製造元・原産地・輸入経路を正確に表示する
  • 誇張した「海外」演出に頼らず、事実の積み重ねで信頼を築く
  • 規制や運用の変更を継続的に追い、責任体制を整えておく

エフカフェは、正規の出店・運営を前提に、商品の表示や規制対応まで含めて日本語でご相談いただける体制を整えています。「自社の出し方が中国の消費者・当局から見て適切か不安」という段階でも、現状の整理からお手伝いできます。

まとめ

越境ECの「海外ブランド」「原装進口」という表示は、必ずしも実態を保証するものではありません。一連の調査報道が示したのは、出所・製造主体の透明性こそが消費者保護と信頼の土台だ、という当たり前の事実です。正規に取り組むブランドにとっては、ここを丁寧に示せることがむしろ強みになります。越境ECに関わるすべてのカテゴリで、「どこで・誰が作ったか」を堂々と語れる運営を心がけたいところです。

商品ページの表示が中国の消費者や当局から見て適切か、当社が現状の整理からお手伝いします。

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※本記事は、中国のCCTV(央视)などによる越境EC輸入品をめぐる調査報道の内容を一般化して整理したものです。特定の企業・ブランドを指すものではありません。制度や運用は今後変更される可能性があるため、最新の公式情報もあわせてご確認ください。

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