中国越境EC
中国越境ECのコンサルティングとは — 運営代行との違いと、参入判断から自社運営の見直しまで受けられる支援
この記事の要点
中国越境ECのコンサルティングは、出店するか、どう売るか、誰が運営するかを貴社が自分で決められるように、判断の材料と進め方を渡す支援です。
- 運営代行との違い:代行は店舗運営の実務を引き受けます。コンサルティングは、その実務の前後にある判断を支えます。
- 最初に受け取るもの:規制・需要・価格の3点から見た「出店するかどうか」の見立てです。調べた結果、出店しないと決めることもあります。
- 使える時期:参入前だけでなく、自社で運営している店舗の見直しや、代行から自社運営へ移すときにも相談できます。
当社のサービス内容は、サービスページと配布資料「中国越境EC総合資料」の記載によります。
「中国の越境ECをやるべきか、社内で判断がつかない」「出店はしたものの、何が悪いのか分からない」「いずれは自社で運営したいので、丸ごと任せるのは避けたい」。中国越境ECのコンサルティングを探す会社の相談は、おおむねこのどれかから始まります。
この記事では、コンサルティングで何を頼めて、何を受け取れるのかを、相談の時期ごとに整理します。店舗運営を丸ごと任せる運営代行については中国越境EC出店から運用代行をトータル支援する会社で、運営代行会社(TP)の比べ方は天猫国際のTP(運営代行パートナー)の選び方で説明しているので、ここでは扱いません。
越境ECのコンサルティングは、判断する人に材料と進め方を渡す支援
中国越境ECには、決めなければならないことが多くあります。そもそも自社の商品を中国で売れるのか。売れるなら、どのモールで、どの販売モデルで、いくらで売るのか。誰が店舗を運営し、初年度にいくらまで投じるのか。どれも、決めるのは最終的には貴社です。
コンサルティングの役割は、この判断に必要な材料をそろえ、決める順番を示すことにあります。中国の規制、モールの規則、競合の価格、中国の消費者が実際に何を見て買っているか。日本の本社からは見えにくいこれらの情報を、社内で説明できる形にまとめて渡します。
決める順番そのものは越境ECの始め方 ― 「決める順番」で詳しく書いています。この記事は、その判断の場面ごとに「外部の専門家に何を頼めるか」という側から見たものです。
運営代行との違いは「誰が決め、誰が手を動かすか」
コンサルティングと運営代行の線引きは、会社によって違います。両方を一緒に提供している会社もあります。それでも、頼む側から見た違いは「誰が手を動かすか」で整理すると分かりやすくなります。
| 観点 | コンサルティング | 運営代行 |
|---|---|---|
| 手を動かす人 | 貴社(または貴社が選んだ委託先) | 代行会社 |
| 主に受け取るもの | 参入可否の見立て、売り方の設計、体制の案、運用の改善点 | 出店手続き、店舗と商品ページ、広告・販促、顧客対応、月次の報告 |
| 向いている会社 | 参入を検討している段階の会社、自社で運営している・運営したい会社、委託先を見直したい会社 | 社内に中国語で運営できる人がいない会社、立ち上げを早く進めたい会社 |
| 社内に残るもの | 判断の根拠と、運営の型 | 店舗と販売実績(運営の細かなノウハウは、意識して共有しないと代行会社側にたまりやすい) |
どちらがよいかは、社内にどこまで人を置けるかで決まります。中国語で日々の店舗運営と顧客対応ができる人がいるなら、判断の部分だけを外に頼む形が成り立ちます。いないなら、立ち上げは代行に任せ、運営が軌道に乗ってから少しずつ社内に移す、という順番も選べます。
参入前の相談で受け取るのは「出店するかどうか」の判断材料
参入前の段階で最初に受け取るべきものは、出店するかどうかの見立てです。出店の手順や費用の見積もりは、その次の話です。
見立ての軸は、規制・需要・価格の3つです。成分や産地が中国の規制にかからないか。中国側にすでに需要の芽があるか。代購や類似品、大型セールの価格と比べて、納得してもらえる売価を設計できるか。3つのうち規制は、成分や産地によっては中国側で輸入・販売が不可となるケースがあるため、最初に確かめます。それぞれの見方と、向かないケースの具体例は越境ECに向かない5つのケースにまとめています。
需要の芽がどれだけ結果を分けるかは、当社が運営した2つのメーカーの対比がよく表しています。
| 観点 | 日系ヘアカラーメーカー | 日系家電メーカー |
|---|---|---|
| 前提 | 中国に工場と販売会社を持ち、ブランドはすでに中国で販売されていた | 新しく発売した高単価の美容家電で、中国での販売実績はまだ無かった |
| 進め方 | 中国で展開していなかった商品を、テストマーケティングも兼ねて越境ECで販売 | 発売した商品をそのまま天猫で販売 |
| 結果 | 1年で月次売上が初月比10倍を超えた | 約1年で撤退 |
出典:当社の配布資料「中国越境EC総合資料」。
どちらも当社が運営に関わった事例です。
どちらも商品力のあるメーカーです。違いは、出店する前から中国の消費者に知られていたかどうかでした。需要の芽が無い商品でも参入はできますが、ゼロから認知を作るぶん、必要な時間と費用の見積もりが大きく変わります。参入前の見立ては、この前提を先に確かめるためのものです。
当社の市場調査・出店可否レポートは20万円からで、貴社の商品が中国越境ECに合うか、どのモールを優先するか、どんなスケジュールになりそうかをまとめてお渡しします。調べた結果として「出店しない」と決めることもできます。初期投資を決める前に、やめる選択肢を持てるのがこの段階で相談する利点です。
出店を決めたら、売り方を「誰に・なぜ・何を・どこで・どの順番で」まで決める
出店すると決めたあとに多い失敗は、店舗を開けてから売り方を考えることです。商品をすべて並べ、広告を出し、反応を見て考える。この進め方だと、施策どうしがつながらず、何が効いたのかも分かりにくくなります。
当社は、店舗を開ける前に次の5つを決めることをおすすめしています。
- 誰に:「中国の女性」で止めず、地域や年代、使う場面まで絞る
- なぜ:価格に納得してもらったうえで、品質・独自性・実績・体験のどれで選ばれるのかを決める
- 何を:最初に投資を集める主役の商品を1つ決める
- どこで:小紅書などで知ってもらい、天猫国際の旗艦店で買ってもらう、という役割分担を決める
- どの順番で:取りやすい層から評価と実績を積み、そこから広げる
5つは別々の問いに見えますが、「誰に」と「なぜ」が決まると、残りの3つはほぼ自然に決まります。逆に、商品や販促の手段から先に決めると、5つがばらばらになりがちです。先ほどのヘアカラーメーカーでは、女性40代を中心に、上海・広東・北京で支持を集めることを狙って運用を組み立てました。
コンサルティングで受け取るのは、この5つを言葉にした設計と、それを社内で説明するための根拠です。SNSやライブ配信など個別の集客手段の比べ方は中国越境ECプロモーションで扱っています。
自社で運営するなら、判断を社内に残す仕組みを先に作る
自社で運営する場合も、作業の一部を外に出す場合も、判断だけは社内に残す必要があります。中国語のやり取りが多い越境ECでは、気づくと判断まで外部任せになっていた、ということが起こりやすいからです。体制づくりの相談では、次の3点を先に決めておくと後で困りません。
1つ目は、数字を見て決める人と頻度です。売上、広告費、在庫、問い合わせを毎月同じ形で見て、翌月の打ち手を決める場を社内に置きます。報告の形式は日本語で、社内でそのまま説明に使えるものにしておくと、意思決定が速くなります。
2つ目は、書類の言語と責任の線引きです。モールとの契約書や各種の申請書類は、中国語または英語で提出する必要があります。当社は書類の内容を日本語で説明し、要点を整理してお渡ししていますが、最終的な内容の確認と署名の判断は貴社にお願いしています。誰が読んで、誰が判を押すのかを、出店の準備に入る前に決めておきます。
3つ目は、初年度の位置づけです。立ち上げ期の広告は、売上を作るためというより、レビューと店舗の実績を積むための投資になります。当社の見立てでは、初年度は投資期で、単月の黒字化は1年前後、累積の回収は2年目以降が現実的です。この時間軸を社内で共有しておかないと、半年ほどで「成果が出ない」と判断が揺れます。
社内に残す役割と外に出せる役割の分け方は、越境ECの始め方の「決める⑤ 誰がやるか」に表で整理しています。
すでに店舗がある会社は、運用診断で「どこから直すか」を決める
すでに天猫国際などに店舗を持っていて、売上が伸びない、委託先との関係を見直したい、という相談もあります。この場合、最初にやるのは打ち手を足すことではなく、いまの運用のどこで止まっているかを確かめることです。当社では、既存店舗の運用診断から入り、改善の優先順位と、運営代行を頼む場合の範囲をご提案しています。
診断で見るべきところは、おおむね次の3つです。
- 数字の止まりどころ:流入が足りないのか、来た人が買っていないのか、客単価が低いのか。打ち手は止まっている場所で変わります
- 価格の位置:代購や類似品、大型セールのときの価格と比べて、いまの売価が中国の消費者に納得されているか
- 規則への追従:モールの規則が改定されたとき、商品ページや物流の運用に反映できているか
モールの規則が運用の評価にどう響くかの一例は、天猫国際の海外直送の評価と基準で具体的に書いています。
運営代行に任せている店舗を、将来は自社で運営したいという相談も同じ入り方になります。当社では、運営が軌道に乗った後に、運営を貴社内に移していく内製化の支援も行っています。
相談の前に、5つの材料を手元にそろえておく
コンサルティングの質は、最初に渡す材料でかなり変わります。完璧にそろっていなくてもかまいませんが、次の5つがあると、初回の打ち合わせから具体的な話ができます。
- 成分表・原材料・商品情報:規制にかかるかどうかは、これが無いと判断できません
- 日本での販売状況と、訪日客の購入状況:店頭で訪日客が買っているかどうかは、中国での需要の手がかりになります
- 中国での流通状況:代購や並行輸入で売られているのを見たことがあるか。分からなければ「分からない」で十分です
- 予算の上限と、やめる条件の案:初年度にいくらまで投じられるか、どうなったら撤退するか
- 社内で判断する人:誰が数字を見て、どのくらいの頻度で決めるか
このうち4と5は、外部の専門家には決められない項目です。逆に1〜3は、分からないところを調べるのがコンサルティングの仕事になります。
エフカフェのコンサルティングは、運営代行まで同じ会社で続けられる
当社は2007年から中国越境ECの支援を続け、これまで100社以上の日本のメーカー・ブランドを支援してきました。当社が運営支援した中国越境EC店舗の累計流通総額は150億円以上です(社内集計値)。アリババ認定の5スターTPで、この認定は2020年5月に取得しました。
コンサルティングとしては、参入前の市場調査・出店可否レポート、出店前の売り方の設計、既存店舗の運用診断、運営代行から自社運営への移行の支援を行っています。判断の材料をお渡しするだけで終わらず、必要になれば同じ会社で出店手続きから日々の運営まで引き受けられるのが当社の特徴です。調査や設計の段階で見えた前提を、そのまま運営に引き継げます。
やり取りはすべて日本語で、月次のレポートも社内報告にそのまま使える日本語でお渡しします。打ち合わせはオンライン中心で進められ、ご相談の前に秘密保持契約を結ぶこともできます。
よくある質問
Q. 越境ECのコンサルティングと運営代行は、何が違いますか。
A. 運営代行は、出店手続きや店舗運営、広告、顧客対応といった実務を代行会社が引き受けます。コンサルティングは、出店するかどうか、どう売るか、誰が運営するかといった判断の材料と進め方を渡す支援です。両方を組み合わせることもできます。
Q. まだ中国で販売したことがありません。どの段階から相談できますか。
A. 出店するかどうかを決める前から相談できます。当社では市場調査・出店可否レポート(20万円から)で、商品の適合性、優先するモール、想定スケジュールをまとめてお渡しします。調べた結果、出店しないと決めることもあります。
Q. 自社で運営したいのですが、コンサルティングだけを頼めますか。
A. 頼めます。売り方の設計や体制づくり、運用の見直しなど、判断にかかわる部分だけを外部に頼む形です。ただし、日々の店舗運営と中国語での顧客対応を担う人が社内か委託先にいることが前提になります。
Q. すでに出店している店舗の見直しも相談できますか。
A. できます。当社では既存店舗の運用診断から入り、改善の優先順位と、運営代行を頼む場合の範囲をご提案しています。代行に任せている店舗を自社運営へ移す内製化の支援も行っています。
Q. 相談する前に、何を準備すればよいですか。
A. 成分表・原材料などの商品情報、日本での販売状況と訪日客の購入状況、予算の上限、社内で判断する人の4つがあると、初回から具体的な話ができます。中国での流通状況は、分からなければ調査の対象にします。
まとめ
中国越境ECのコンサルティングは、出店するか、どう売るか、誰が運営するかを貴社が決めるための材料と進め方を渡す支援です。運営代行が実務を引き受けるのに対し、コンサルティングはその前後の判断を支えます。
参入前に受け取るべきものは、規制・需要・価格から見た「出店するかどうか」の見立てで、出店しない判断もここで下せます。出店を決めたら「誰に・なぜ・何を・どこで・どの順番で」まで売り方を決め、自社で運営するなら判断を社内に残す仕組みを先に作ります。すでに店舗がある場合は、運用診断でどこから直すかを決めるところから始めます。
当社では、市場調査から売り方の設計、既存店舗の運用診断、内製化の支援まで、日本語でご相談いただけます。「自社の商品は中国で売れるのか」という段階からお問い合わせください。