デプスインタビューで顧客の本音を引き出す!メリット・実施手順・成功の秘訣を解説
デプスインタビューで顧客の本音を引き出す!メリット・実施手順・成功の秘訣を解説

消費者の本音を知りたい、顧客の潜在ニーズを掴みたい──そう考えた時、有効な手段となるのが「デプスインタビュー」です。
デプスインタビューとは、少人数の参加者に対して深い質問を行い、その思考や感情を理解する定性調査の手法。マーケティングや商品開発など、様々な分野で活用されています。
本記事では、デプスインタビューの概要から実施方法、成功の秘訣までをわかりやすく解説します。インタビューを検討している方、デプスインタビューについて理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
デプスインタビューとは
デプスインタビューとは、質的な調査方法の一種で、少人数の被験者に対し、掘り下げた質問や自由回答形式の質問を行います。これにより、被験者の考えや感情、行動の背後にある動機などを深く理解することを目的としています。
デプスインタビューは定性調査の一種
定性調査とは、数値化できない情報を収集し、分析する調査方法です。
デプスインタビューは定性調査の一種であり、アンケート調査などの量的調査とは異なり、統計的な分析は行いません。個人の意見や考えを質的に分析することで、消費者の潜在的なニーズや価値観を理解することに重点を置きます。
他のインタビューとの違い
一般的なインタビューは、多くの場合、複数の人に対し、比較的短い時間で表面的な情報を収集することを目的とします。一方、デプスインタビューは、1人の被験者に対して長時間にわたり、深く掘り下げて質問することで、被験者の潜在意識や本音を引き出し、質の高い定性データを得ることを目的としています。
デプスインタビューの利点
デプスインタビューには、以下の利点があります。
意思決定のプロセス知ることができる
デプスインタビューでは、消費者が製品やサービスを購入するまでの思考プロセス、その裏側にある感情や動機を深く理解することができます。
例えば、消費者がどのような情報源から情報を得て、どのような基準で比較検討し、最終的に購入を決断したのか、といった詳細なプロセスを把握することが可能になります。
これは、製品開発やマーケティング戦略の立案に非常に役立ちます。消費者が製品やサービスに求めているもの、購入の決め手となる情報を知ることで、より顧客満足度の高い製品やサービスを提供できるようになるでしょう。
率直な意見を引き出しやすい
デプスインタビューは、一対一または少人数で行われるため、被験者は他の参加者の影響を受けずに、自分の考えや感情を自由に表現することができます。
また、インタビュアーは被験者の回答を深く掘り下げ、より詳細な情報を引き出すことができます。
そのため、新製品やサービスに対する率直なフィードバックを得たり、特定のトピックについて人々の考えや感情を深く理解したりするのに最適です。
デリケートな話題も調査可能
デプスインタビューでは、インタビュアーと被験者が密接な関係を築き、幅広いトピックについて掘り下げて話すことができます。
そのため、他の調査手法では扱いにくいデリケートなトピックにも切り込むことが可能です。
例えば、性的指向、宗教観、トラウマ体験など、個人にとってデリケートなテーマについても、信頼関係を築いた上で、安心・安全な雰囲気の中でインタビューを行うことで、率直な意見を引き出すことができます。
>デプスインタビューの欠点
デプスインタビューは質の高い情報を収集できる調査手法ですが、いくつかの欠点もあります。
他の調査手法よりも高コスト
デプスインタビューは、他の調査手法に比べてコストが高くなる傾向があります。
- 熟練したインタビュアーの人件費
- 被験者への謝礼
- 面接場所の確保費用
- 交通費や宿泊費(被験者が遠方の場合は発生)
- データ分析にかかる費用
インタビュアーにスキルと経験が必要
デプスインタビューの質は、インタビュアーのスキルと経験に大きく左右されます。
インタビュアーには、以下のようなスキルと経験が求められます。
- 傾聴力:被験者の言葉に耳を傾け、真意を理解する力
- 質問力:被験者を深掘りするための質問を適切に行う力
- 観察力:被験者の表情や態度を観察し、言葉以外の情報も収集する力
- 共感力:被験者と共感関係を築き、安心して話せる雰囲気を作る力
- 実務経験:デプスインタビューの実施経験
定量的データの取得には向かない
デプスインタビューは、被験者の意見や考え、感情などを深く掘り下げて理解することを目的としているため、定性的なデータの収集に適しています。
しかし、数値化できるような定量的なデータの取得には不向きです
デプスインタビューの実施手順
実施手順は、大きく5つのステップに分けることができます。
1. 調査目的・ターゲットの明確化
まず、調査の目的を明確化し、ターゲットとなる人物像を具体的に設定します。
年齢、性別、職業、居住地、ライフスタイルなど、調査目的と関連する属性を絞り込みます。
2. 調査対象者の選定
調査対象者の選定は、調査結果の信頼性を左右する重要な要素です。
- サンプルサイズ: 調査目的や予算に応じて適切な人数を決定します。
- リクルート方法: リクルート会社、オンラインパネル、既存顧客リストなどから対象者を抽出します。
- スクリーニング: 電話やオンラインアンケートなどでスクリーニングを実施し、調査目的に合致する人物を選定します。
3. インタビュー内容の準備
時間: 90分~120分程度が一般的ですが、インタビュー対象やテーマによって調整します。
場所: 静かでリラックスできる環境(被験者のオフィス、自宅、会議室など)を用意します。
質問項目: 事前に質問項目を作成します。オープンクエスチョンを中心に、インタビュー目的とテーマに沿って質問を組み立てましょう。状況に応じて質問内容を変更することも可能です。
4. インタビューの実施
被験者との良好なコミュニケーションを心がけ、リラックスした雰囲気でインタビューを進めます。
5. データの分析
インタビュー実施後は、以下の手順でデータを分析します。
- テープ起こし: インタビュー内容を文字起こしします。
- コーディング: インタビュー内容を分類し、カテゴリーごとに整理します。
- 分析: 各カテゴリーの内容を分析し、共通点や傾向を把握します。
分析結果は、報告書やプレゼンテーションにまとめ、今後の施策や改善点について検討します。
デプスインタビュー成功の秘訣
デプスインタビューを成功させるには、いくつかのポイントがあります。
アイスブレイクなどで最初の緊張を和らげる
デプスインタビューは1対1で行われるため、被験者は緊張しやすい状態です。そのため、最初の緊張を和らげるためのアイスブレイクが重要になります。
天気や季節、仕事や趣味など、軽い話題から始め、リラックスした雰囲気を作り出すことで、被験者が本音を話しやすい環境を整えましょう。
オープンクエスチョンを活用
オープンクエスチョンとは、単に「はい」や「いいえ」で答えられない質問のことです。
- あなたにとって、この製品の最も魅力的な点はなんですか?
- このサービスを利用して、どのような変化がありましたか?
- この問題について、率直なご意見をお聞かせください。
オープンクエスチョンを活用することで、被験者の考えや感情を深く引き出し、予想外の情報を発見できる可能性があります。
相手に合わせてアプローチを変える
被験者の年齢、性別、職業、ライフスタイルなどによって、考え方や価値観は異なります。
インタビュアーは、相手の属性や状況を考慮し、適切な質問や会話の進め方を調整する必要があります。
例えば、若い世代には最新の情報やトレンドに合わせた質問を、高齢者には経験や知識に基づいた質問をするなど、相手に合わせてアプローチを変えることで、より深い情報や意見を引き出すことができます。
デプスインタビューの注意点
デプスインタビューを実施する際には、いくつかの注意点があります。
圧迫感を与えない雰囲気づくり
被験者がリラックスして話せる雰囲気作りが大切です。
静かで落ち着いた場所を選び、快適な温度と照明を確保しましょう。
インタビュアーは、威圧的な態度や誘導質問を避け、被験者の意見を尊重する姿勢を示すことが重要です。
一意見であることを認識しておく
デプスインタビューで得られた意見は、あくまでも一部の意見であることを認識しておく必要があります。
インタビュー結果だけで市場全体や集団全体を代表することはできないため、あくまで参考資料として捉え、他の調査結果と合わせて総合的に判断することが重要です。
まとめ
デプスインタビューは、顧客の真のニーズを理解し、効果的なマーケティング戦略を立てるために有効な手法です。
本記事で紹介したメリット・デメリット、実施手順、成功の秘訣を参考に、デプスインタビューを効果的に活用し、顧客理解を深め、ビジネスの成功につなげましょう。