企業向けRED(小紅書)マーケティング完全ガイド
企業向けRED(小紅書)マーケティング完全ガイド

目次
「最近よく聞く中国SNSのREDって、ビジネスにどう使えるんだろう?」
「中国市場向けの新しい施策として、RED(小紅書)の活用を検討したいが、何から始めればいいかわからない…」
このような課題をお持ちのマーケティング担当者様、海外事業担当者様へ。この記事では、中国で絶大な影響力を持つSNS「RED(小紅書/シャオホンシュー)」をビジネスで活用するための情報を、網羅的かつ分かりやすく解説します。
REDは単なるSNSアプリではありません。ユーザーのリアルな口コミ(UGC)が購買行動に直結する、強力な「検索プラットフォーム」であり「Eコマースプラットフォーム」でもあるのです。
この記事を最後まで読めば、REDの基本から具体的なマーケティング手法、業界別の成功事例、そして費用感まで、貴社が導入を判断するために必要な知識がすべて手に入ります。
RED(小紅書)とは?ビジネスで注目される中国SNS
RED(小紅書)とは、2013年にリリースされた中国のSNSプラットフォームです。「RED」や「Red Book」という通称でも知られており、主にライフスタイル全般に関する情報をユーザーが投稿・共有する場として発展してきました。
月間アクティブユーザー数は2億人を超え、特に都市部に住む購買意欲の高い若者層から絶大な支持を集めています。(参考:36Kr Japan https://36kr.jp/208579/)
ユーザーは化粧品(コスメ)やファッション、旅行、グルメといった幅広いジャンルで、商品レビューや使用感、体験談を写真や動画付きで投稿します。このリアルな口コミが、他のユーザーの購買意思決定に大きな影響を与えている点が、ビジネスで注目される最大の理由です。
Instagramとの決定的な違い
REDは「中国版Instagram」と表現されることが多いですが、マーケティングの観点から見ると、その性質は大きく異なります。

最大の違いは、REDが「検索エンジン」として使われている点です。中国の若者は、何か商品を購入したり、サービスを利用したりする前に、まずREDで「ググる」ように検索し、一般ユーザーのリアルな口コミを確認する文化が根付いています。これを「种草(ジョンツァオ)」と呼び、日本語で言う「種まき(口コミによる興味喚起)」を意味します。
UGCが購買を生む独自のプラットフォーム特性
REDの核心は、UGC(User Generated Content=ユーザー生成コンテンツ)にあります。企業からの広告よりも、同じ消費者である一般ユーザーの正直なレビューが信頼され、購買に繋がりやすいという特徴があります。
この「信頼性の高いUGC」が豊富にあるため、ユーザーはREDを購買判断のための情報収集ツールとして活用します。そして、良い商品やサービスに出会うと、今度は自らがUGCを投稿して「种草」を行い、新たな口コミが生まれる…という好循環がプラットフォーム全体で機能しています。
企業にとっては、このUGCのサイクルの中に自社の商品やサービスをいかに自然な形で組み込み、ポジティブな口コミを創出するかが、REDマーケティング成功の鍵となります。
企業が実践するREDマーケティングの4大手法
REDで成果を出すためには、プラットフォームの特性を理解した上で、目的に応じた手法を組み合わせることが重要です。ここでは、企業が実践すべき代表的な4つのマーケティング手法を解説します。
公式アカウント運用とファンコミュニティ形成
企業の「顔」となるのが公式アカウント(企業号)です。単に商品を宣伝するだけでなく、ブランドの世界観やストーリー、ユーザーにとって役立つ情報を発信することで、ファンの育成を目指します。
定期的な情報発信を通じてユーザーとコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが、長期的なブランド価値向上に繋がります。開設には中国法人や関連書類が必要になるため、専門の代理店に相談するのが一般的です。
KOL/KOCを活用した口コミプロモーション
REDマーケティングの要となるのが、インフルエンサー施策です。
KOL(Key Opinion Leader): 芸能人や専門家など、絶大な影響力を持つトップインフルエンサー。短期間で大規模な認知度向上やブランディングに効果的です。
KOC(Key Opinion Consumer): 特定分野に詳しい一般ユーザーに近いインフルエンサー。フォロワー数はKOLより少ないものの、リアルな口コミでユーザーからの信頼が厚く、購買への影響力が非常に高いのが特徴です。
新商品のローンチ時にはKOLで一気に認知を広げ、その後多数のKOCを起用してリアルな口コミ(UGC)を大量に創出し、購買意欲を高める、といった組み合わせが王道の戦略です。
成果に繋がる広告運用とメニュー解説
より直接的にターゲットユーザーへアプローチしたい場合、広告運用が有効です。REDの広告は、UGCに溶け込むような自然な形式のため、ユーザーに受け入れられやすいのが特徴です。
検索広告: 特定のキーワードで検索したユーザーに対して広告を表示。購買意欲が非常に高い層に直接アプローチできます。
フィード広告: ユーザーのタイムライン(発見ページ)にUGCと同じ形式で広告を配信。潜在層へのリーチや認知度拡大に適しています。
ユーザーの年齢、性別、地域、興味関心など、精緻なターゲティングが可能で、費用対効果の高いプロモーションが期待できます。
越境ECに直結するライブコマース
REDの強力な機能の一つが、ライブコマースです。KOLやKOCがライブ配信で商品をリアルタイムに紹介し、視聴者はその場で質問したり、アプリ内のショッピング機能(商城)で商品を購入したりできます。
商品の魅力を動画で伝えながら視聴者と双方向のコミュニケーションが取れるため、非常に高いコンバージョン率を誇ります。特に、化粧品やアパレル、食品といったビジュアルで訴求しやすい商材との相性が抜群です。
【業界別】日本企業のRED活用成功事例
ここでは、実際にREDマーケティングを活用して成功を収めている日本企業の事例を業界別にご紹介します。
化粧品業界の事例
化粧品はREDで最も人気のあるカテゴリであり、数多くの成功事例が生まれています。
例えば、大手化粧品メーカーのコーセーは、高級ライン「DECORTÉ(コスメデコルテ)」のプロモーションでREDを積極的に活用。人気KOLを起用した情報発信やライブコマースにより、ブランドの認知度と売上を大幅に向上させました。ユーザーによる自発的なレビュー投稿も活発で、UGC創出の好循環を生み出しています。
アパレル・ファッション業界の事例
アパレル業界では、コーディネート投稿(穿搭)が人気です。日本の人気ブランドも、公式アカウントでの新作紹介やKOCによる着こなし投稿を通じて、中国のファッショントレンドに影響を与えています。商品の着回し術やサイズ感といったリアルな情報が、ユーザーの購買を後押しします。
インバウンド観光・小売業界の事例
日本のインバウンド需要回復に伴い、観光や小売業界でのRED活用も活発化しています。例えば、百貨店の松屋銀座は、中国人観光客向けにREDで店舗情報や限定商品をPR。来店前に情報を収集するユーザーにアプローチし、インバウンド売上の拡大に繋げています。日本の観光地やグルメに関するUGCも豊富で、「訪日前にREDで行きたい場所を検索する」のが定番の行動パターンとなっています。
REDマーケティングの始め方と費用相場
REDマーケティングを始めるには、専門的な知識やノウハウが必要です。ここでは、導入の進め方と気になる費用感について解説します。
代理店活用のメリットと選び方
REDマーケティングは、公式アカウントの開設手続きやプラットフォームの規約、現地のトレンド理解など、専門性が求められる領域です。そのため、実績豊富な専門代理店に依頼するのが最も確実で効率的な方法と言えます。
代理店を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
・REDマーケティングの運用実績が豊富か
・業界や商材に合わせた戦略立案が可能か
・KOL/KOCのキャスティング力があるか
・効果測定とレポーティング体制が整っているか
各施策の具体的な費用感
費用は施策内容や規模によって大きく変動しますが、一般的な相場観は以下の通りです。
公式アカウント開設・運用代行: 初期費用数十万円+月額20万円〜
KOL起用: フォロワー単価0.5円〜3円程度(例: 10万フォロワーのKOLで5万円〜30万円/投稿)
KOC起用: 1人数千円〜数万円程度(商品提供のみの場合もあり)
広告運用: 最低出稿金額はありますが、一般的には月額30万円〜が効果を実感しやすい目安です。
これらはあくまで目安であり、貴社の目的や予算に合わせて最適なプランを組むことが可能です。
主要中国SNSとの戦略的な使い分け
中国市場で成果を出すには、各SNSの特性を理解し、戦略的に使い分けることが不可欠です。
情報拡散のWeiboと購買起点のRED
Weibo(微博)は、日本のX(旧Twitter)のように、リアルタイム性と高い拡散力を持つ「マス向けメディア」です。新商品発表や大規模キャンペーンの告知など、情報を一気に広めたい場合に有効です。
一方、REDは、ユーザーが能動的に情報を探しに来る「検索メディア」であり、購買に近い層に深くアプローチしたい場合に最適です。Weiboで認知させ、REDで口コミを検索させて購買を後押しする、という連携が効果的です。
ショート動画のDouyinとライフスタイル検索のRED
Douyin(抖音)は、TikTokの中国版であり、エンターテイメント性の高いショート動画で爆発的なバズを生むプラットフォームです。主に暇つぶしや娯楽目的で利用され、若者層への瞬間的なリーチに強みを持ちます。
一方、REDは、より計画的な消費行動の前に利用される傾向があります。「何かを買いたい」「どこかへ行きたい」といった明確な目的を持って検索するユーザーに対し、じっくりと商品の魅力を伝え、購買を検討させるのに向いています。
まとめ
本記事では、中国SNS「RED(小紅書)」をビジネスで活用するためのマーケティング手法や成功事例を解説しました。
最後に、重要なポイントを振り返ります。
・REDは「検索+EC」の特性を持つ、購買に直結するSNS
・成功の鍵は、ユーザーのリアルな口コミ(UGC)をいかに生み出すか
・マーケティング手法は「公式アカウント」「KOL/KOC」「広告」「ライブコマース」の4つが基本
・WeiboやDouyinなど他のSNSと戦略的に使い分けることが重要
REDは、中国の巨大な消費市場にアプローチするための、今最も強力なプラットフォームの一つです。この記事が、貴社の中国マーケティング戦略を加速させる一助となれば幸いです。より具体的な戦略や施策についてご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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