中国越境EC集客・販促
中国のライブコマースとは?市場規模・主要プラットフォーム・企業の活用法
この記事の要点
中国のライブコマースは急拡大の時期を過ぎ、トップ配信者からブランド自社ライブへ重心が移りました。
- 市場:市場規模は推計で異なります。網経社の集計では、2024年の伸びは8.31%に鈍りました。
- 規制:2026年2月1日に直播電商監督管理弁法が施行され、虚偽や誤解を招く宣伝が禁じられました。
- ライバー選び:外部に頼むなら親和性・実績・コンプライアンスで選び、費用の内訳と成果の基準を確かめます。
越境ライブコマース完全ガイド|中国攻略法
「中国の消費者に自社商品を届けたい」「国内市場の成長に限界を感じている」
このような課題を持つ企業にとって、中国向けの越境ECは有力な選択肢です。中でも、中国で日常的な買い方として定着しているのがライブコマース(直播電商)です。
この記事では、中国のライブコマースの市場規模と特徴、主要なプラットフォーム、ここ数年の変化と規制、ライバー(KOL)の選び方と費用の考え方、日本企業の事例、始め方までを順に解説します。
中国のライブコマースとは?市場規模と特徴
市場規模は推計で幅がありますが、2024年の伸びは網経社の集計で8.31%と鈍り、急拡大の時期は過ぎています。
ライブコマースとは、インターネットのライブ配信を通じて商品を販売する手法です。視聴者は配信者(ライバー)とコメントでやりとりしながら商品の説明を受け、その場で購入まで済ませられます。海外の企業が中国の消費者に向けて行う場合は、越境ECの店舗と組み合わせて「越境ライブコマース」と呼ばれることもあります。
市場規模は、調査機関によって数字が異なります。主な推計は次のとおりです。
数字の幅はあっても、伸び方の変化ははっきりしています。網経社の集計では、2024年の伸びは8.31%と前年までより大きく鈍りました。急拡大の時期を過ぎ、大きな市場の中でどう売るかが問われる段階に入っています。
ライブコマースの強みは、テキストや画像だけでは伝わりにくい商品の質感や使い方を、動画と対話で伝えられることです。化粧品ならライバーが実際に使ってテクスチャーを見せ、美容機器なら使い方を実演しながら視聴者の質問に答えられます。
主要プラットフォーム — 淘宝直播・抖音・小紅書
淘宝直播は買い物目的の利用者が集まり、抖音は動画からの流入が中心、小紅書は口コミで欲しい気持ちを育てる場です。
中国でライブコマースを行う場は、プラットフォームごとに性格が違います。日本企業が越境ECで取り組む場合は、販売する店舗をどこに置くかとあわせて選びます。
淘宝直播(タオバオライブ)
アリババグループのEC「淘宝(タオバオ)」「天猫(Tmall)」に組み込まれたライブ機能です。もともと買い物目的のユーザーが集まる場で、店舗の商品ページから決済まで同じアプリの中で完結します。天猫国際(Tmall Global)に出店している海外ブランドも、自社の店舗でライブ配信を行えます。(公式サイト:淘宝4)
抖音(ドウイン)
中国版TikTokとして知られるショート動画プラットフォームです。動画で興味を引いてライブ配信や商品ページに送る流れが中心で、ECプラットフォームとしての存在感を高めています。抖音については抖音(Douyin)とは?で詳しく解説しています。(公式サイト:抖音5)
小紅書(RED)
口コミ投稿で「欲しい」気持ちを育てる(種草)場として知られるSNSで、ライブ配信での販売も行われています。2023年10月には、章小蕙(ジャン・シャオホエ)の配信が小紅書で初めて売上1億元を超えたと報じられました(出典:網易6)。小紅書の使い方は企業向けRED(小紅書)マーケティング完全ガイドにまとめています。
トップ配信者の時代から、ブランド自社ライブへ
李佳琦の618予約初日のGMVは2024年にほぼ半減し、抖音では店播のGMVが2年続けて外部配信者を上回ったと36氪が関係者の話として報じています。
中国のライブコマースといえば、口紅王子と呼ばれた李佳琦(リー・ジアチー)や、薇娅(ウェイヤー/Viya)のようなトップ配信者のイメージが強いかもしれません。しかし、この数年で状況は大きく変わりました。
- 薇娅:2021年12月、国家税務総局杭州市税務局稽査局が、脱税などで追徴税・延滞金・罰金の計13.41億元を課したと発表しました(出典:国家税務総局7)。2025年の618の時点でも、表舞台からほぼ姿を消したと報じられています(出典:36氪8)。
- 李佳琦:淘宝での618の予約初日のGMVは、2023年の49.77億元から2024年は26.75億元へほぼ半減し、2025年は25億元(推計)でした(出典:投中網が掲載した亿邦动力の記事9)。
- ブランド自社ライブ(店播)の台頭:抖音では、2024年に百万フォロワー超の配信者によるGMVが全体の約9%にとどまり、店播のGMVは2年続けて外部の配信者による販売を上回ったと、36氪が関係者の話として報じています(出典:36氪10)。
規制も強まりました。2026年2月1日には「直播電商監督管理弁法」(国家市場監督管理総局・国家網信弁の令第117号)が施行され、虚偽や誤解を招く宣伝が禁じられたほか、AIで生成した人物(数字人)で配信する場合は、AIによる生成であることを消費者に示し続けることが求められています(出典:中国互联网法务網に掲載の弁法全文11)。化粧品・健康食品の効能表現には特に注意が必要です。
こうした変化の詳細と、日本ブランドの戦い方は【2026年】中国ライブコマースの構造転換で解説しています。
ライバー(KOL)の選び方と費用の考え方
ライバーは親和性と販売実績とコンプライアンスで選び、費用は枠代と売上に応じた手数料の組み合わせが一般的です。
外部のライバー(KOL)に依頼する場合は、フォロワー数だけで選ばず、次の点を確かめます。
- 商品との親和性:ライバーの得意分野や視聴者層が、自社の商品カテゴリと合っているか。
- 過去の販売実績:過去の配信の売上や返品の状況を、集計の基準(返品前か返品後か)とあわせて見せてもらえるか。
- コンプライアンス:誇大な表現や根拠のない効能をうたわない配信姿勢か。
費用は、商品を紹介してもらう枠代(坑位費)と、売れた金額に応じた手数料(佣金)の組み合わせが一般的です。報道で確認できる目安は次のとおりです。
- 頭部(トップ)の配信者に1回の配信を貸し切る「専場」は、おおむね100万〜300万元と業界関係者が説明(出典:投中網、2025年7月)。
- 李佳琦の1商品の枠代は、平日4.24万元・大促8.48万元という食品商家の証言(出典:新浪财经12、2024年12月)。
- 美妆の手数料は、大手の有名ブランド(大牌)で一般に8〜15ポイント、中国国内ブランドでは高いと30〜40ポイントという関係者の証言(出典:南方都市報13、2024年12月)。
費用の組み方と成果の測り方は中国KOL・ライブコマース運用の実務で詳しく解説しています。天猫国際の出店にかかる費用は天猫国際の出店費用をご覧ください。
日本企業の事例 — ヤーマン
ヤーマンは2021年の独身の日に電子美容機器部門で6年連続1位となり、専門家や自社店舗のライブも組み合わせた例です。
美容機器メーカーのヤーマンは、2021年の「独身の日(11月11日)」に、Tmallの電子美容機器部門で販売実績・売上シェアとも6年連続1位になったと発表しました。販売の中心はライブコマースで、皮膚科医とのライブ配信や、トップ配信者の薇娅を起用した配信を行ったほか、KOLを起用しないメーカー単独のライブでも、旗艦店が1億元を達成したブランドの一つに入ったとしています(出典:日本ネット経済新聞14、2021年11月)。
外部のトップ配信者だけに頼らず、専門家との配信や自社店舗のライブを組み合わせていた点は、その後の「ブランド自社ライブ」への流れを先取りしていたと見ることもできます。一方で、この時に起用した薇娅はその翌月に処分を受けており、特定の配信者に頼るリスクも示しています。
中国向けライブコマースの始め方5ステップ
チャネル決定、商品と物流決済の確認、台本づくり、配信者の決定、告知と本番と振り返りの5段階で進めます。
ステップ1. 販売チャネルを決める
まず、どのプラットフォームの、どの店舗で売るかを決めます。日本企業が中国法人を持たずに始める方法のひとつが、天猫国際などの越境ECモールに店舗を置き、その店舗でライブを行う形です。天猫国際の出店手順は天猫国際の出店の流れと必要書類で解説しています。
ステップ2. 商品選定と物流・決済の確認
現地のニーズを調べて、ライブで売る商品を選びます。越境ECでは、扱える商品の範囲や成分の規制、物流の方式(保税倉庫か直送か)を先に確かめます。
ステップ3. 配信の企画と台本づくり
売上や新規顧客数などの目標を決め、紹介する商品の順番、時間配分、限定クーポンなどの企画を台本にまとめます。視聴者のコメントに答えられるよう、台本は固めすぎないのがコツです。
ステップ4. 配信者を決める
自社の店舗で配信する(店播)か、外部のライバーに依頼するかを決めます。外部に依頼する場合は、前述の選び方で人選し、費用の内訳と成果の定義を契約で確定します。
ステップ5. 告知・本番・振り返り
SNSやライバーのアカウントで事前に告知し、当日はコメントに丁寧に答えながら配信します。終了後は、売上と返品、視聴者の反応を分析して次回に活かします。
まとめ
本記事では、中国のライブコマースの市場規模と特徴、主要プラットフォーム、ここ数年の変化と規制、ライバーの選び方と費用、日本企業の事例、始め方を解説しました。
- 市場規模は推計によって異なるが、2024年の伸びは1桁に鈍り、急拡大の時期は過ぎている。
- 主な場は淘宝直播・抖音・快手・小紅書など。日本企業は越境ECの店舗と組み合わせて取り組む。
- トップ配信者への依存から、ブランド自社ライブ(店播)へ重心が移り、2026年2月からは新しい規制も施行された。
- 外部のライバーに頼む場合は、親和性・実績・コンプライアンスで選び、費用の内訳と成果の基準を確認する。
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