Tmall Globalとは?出店方法と費用、天猫との違いを解説
Tmall Globalとは?出店方法と費用、天猫との違いを解説

目次
「巨大な中国市場に挑戦したいが、何から始めればいいかわからない」
「中国法人を設立するリスクは負えないが、越境ECで商品を販売してみたい」
このようなお悩みを持つ、日本の企業担当者様は多いのではないでしょうか。その有力な解決策となるのが、アリババグループが運営する中国最大の越境ECプラットフォーム「Tmall Global(Tモールグローバル/天猫国際)」です。
この記事では、中国向け越境ECを検討している企業の担当者様に向けて、Tmall Globalの基本から、よく比較されるTmall(天猫)との違い、具体的な出店条件や費用、開店までのステップまで、意思決定に必要な情報を網羅的に解説します。
Tmall Global(天猫国際)とTmall(天猫)の決定的違い
Tmall GlobalとTmall(天猫)は、どちらもアリババグループが運営する巨大なECプラットフォームですが、その性質は全く異なります。中国市場への進出を考える上で、この違いを理解することが最初の重要なステップです。
最も決定的な違いは、「中国法人の要否」です。

簡単に言えば、Tmall Globalは、海外企業が中国法人を設立することなく、日本にいながら中国の消費者に商品を販売できる「越境EC」専用のモールです。一方、Tmallは中国国内の企業向けのモールであり、出店するには中国での法人設立や各種許認可が必要となります。
これから中国市場への参入を目指す日本企業にとっては、まずTmall Globalからスモールスタートするのが現実的かつ一般的な選択肢と言えるでしょう。
Tmall Globalへ出店する3つのメリットとデメリット
Tmall Globalへの出店は多くのメリットをもたらしますが、同時に注意すべき点も存在します。双方を理解し、自社の戦略に合致するかを判断しましょう。
メリット
圧倒的なブランド力と集客力: Tmall Globalは、中国の消費者から「海外の正規品が買える信頼性の高いプラットフォーム」として絶大な支持を得ています。この強力なブランド力を活用し、巨大な中国市場の消費者に直接アプローチできます。
中国法人不要でスピーディな市場参入: 前述の通り、中国法人を設立する必要がありません。これにより、現地での会社設立にかかる時間、コスト、法務リスクを回避し、迅速にビジネスを開始できます。
充実した販売インフラの活用: アリババグループが提供する決済システム「Alipay(アリペイ)」や、物流ネットワーク「菜鳥(ツァイニャオ)」、ビッグデータを活用したマーケティングツールなどを利用でき、自社で一から構築する必要がありません。
デメリット
高額な初期費用とランニングコスト: 出店には、後述する保証金(デポジット)や年間手数料、売上に応じた手数料(コミッション)が発生します。これらのコストは決して安価ではなく、十分な資金計画が必要です。
激しい価格競争とマーケティング競争: 世界中の有名ブランドが出店しており、競争は非常に激しいです。単に出店するだけでは商品は売れず、多額の広告宣伝費や専門的なマーケティング戦略が不可欠となります。
煩雑な出店審査と準備: 出店にはアリババによる厳格な審査があり、申請には多くの書類が必要です。また、商品ページの作成やカスタマーサポートは中国語で行う必要があり、言語の壁も存在します。
Tmall Globalの出店条件と全費用
Tmall Globalへの出店を具体的に検討する上で、最も重要な「出店形態」「必須資格」「費用」について解説します。
3つの出店形態とそれぞれの必須資格
Tmall Globalには、主に3つの出店形態(店舗タイプ)があり、それぞれで出店条件が異なります。
旗艦店(Flagship Store)
ブランドの商標を持つ企業自身が出店する公式ストアです。
必須資格: 35類(広告・事業管理等)の中国商標(®マーク)を保有していること。ブランドオーナー自身であることの証明が必要です。
専門店(Specialty Store)
複数のブランドを扱う店舗です。ブランドから正規の販売代理授権書を得ている必要があります。
必須資格: ブランドオーナーから発行された正規販売代理授権書を保有していること。
フランチャイズ店(Franchise Store)
特定ブランドの商品を販売する店舗ですが、旗艦店とは異なり、ブランドオーナー自身ではなく、正規販売代理店が出店します。
必須資格: ブランドオーナーから発行された正規販売代理授権書を保有していること。
いずれの形態でも、日本で登記された法人であり、一定の経営実績があることが基本的な条件となります。
初期費用・保証金・年間手数料の最新相場
出店には、主に「保証金」「年間手数料」「売上ロイヤリティ」の3つの費用が発生します。
保証金(デポジット): 約25,000USドルが標準です。これは契約違反などがあった場合の担保金であり、問題なく退店する際には返金されます。(参考:Tmall Global公式サイト)
年間手数料(技術サービス料): 取り扱う商品カテゴリーによって異なり、5,000USドルまたは10,000USドルの2段階に設定されています。この手数料は、年間の売上目標を達成すると、その達成率に応じて50%または100%が返金される仕組みがあります。
売上ロイヤリティ(コミッション): 売上に対して発生する手数料です。商品カテゴリーによって料率が異なり、2%~5%程度が一般的です。
これらの費用に加えて、店舗の運営代行を依頼する場合はその費用、広告宣伝費などが別途必要になります。
出店申請から開店までの5ステップ
Tmall Globalへの出店は、以下のステップで進めるのが一般的です。専門的な知識が必要なため、多くの企業は出店支援を行うパートナー企業と協力して進めています。
STEP1. 出店相談とアカウント登録
まずは、Tmall Globalの公式サイトや、認定されているTP(Tmall Partner)と呼ばれる運営代行会社に相談します。自社のブランドや商品が出店条件を満たしているかを確認し、最適な出店プランの提案を受けます。
STEP2. Alipay国際アカウントの開設
売上の受け取りや各種費用の支払いのために、国際版のAlipayアカウントを開設します。企業の登記情報や銀行口座情報など、複数の書類提出が必要です。
STEP3. 契約締結と保証金の支払い
Alipayアカウントの開設が完了したら、Tmall Globalとの間で正式な出店契約を締結します。契約内容を確認後、指定された保証金(デポジット)と初年度の年間手数料を支払います。
STEP4. 店舗開設と商品登録
支払いが完了すると、店舗の管理画面が利用可能になります。店舗のデザイン設定、販売する商品の情報登録(中国語での商品説明、画像、価格設定など)を行います。この作業は専門性が高いため、TPに委託するのが一般的です。
STEP5. 開店前テストとオープン
すべての準備が整ったら、開店前の最終テストを行います。商品の表示、購入プロセス、決済などに問題がないかを確認し、問題がなければ正式に店舗をオープンします。
Tmall Globalでの商品購入方法と注意点
企業の担当者として市場を理解するために、消費者としての購入方法を知っておくことも有益です。Tmall Globalは中国現地在住者のみ商品を購入することが可能です。
購入は、Tmall Globalのウェブサイトや公式アプリから行います。アカウントを作成し、欲しい商品をカートに入れて決済する流れは、日本のECサイトと大きくは変わりません。
決済方法: 主にAlipayが利用されますが、クレジットカードでの決済も可能です。
配送: 販売者が中国保税区を利用している場合や日本の倉庫から配送しているケースがあり、送料や配送日数は店舗によって異なります。
注意点: 商品代金とは別に、送料や関税(行郵税)がかかる場合があります。購入前に必ず確認しましょう。
Tmall Globalに関するよくある質問
最後に、Tmall Globalに関してよく寄せられる質問にお答えします。
公式サイトのURLとアクセス方法
Tmall Globalの公式サイトは以下のURLからアクセスできます。出店に関する最新情報や規約は、公式サイトで確認することをお勧めします。
Tmall Global公式サイト: https://www.tmall.hk/
出店者向け情報サイト: https://rule.tmall.hk/
アリババグループにおける位置づけ
Tmall Globalは、巨大なアリババ(Alibaba)グループが展開するサービスの一つです。グループ内には、以下のような主要サービスがあり、それぞれが異なる役割を担っています。
Tmall Global(天猫国際): 海外企業向けの越境ECモール(BtoC)
Tmall(天猫): 中国国内企業向けのECモール(BtoC)
Taobao(タオバオ/淘宝網): 個人間取引(CtoC)がメインのECモール
Alibaba.com: 国際的な企業間取引(BtoB)プラットフォーム
1688.com: 中国国内の企業間取引(BtoB)プラットフォーム
Tmall Globalは、このエコシステムの中で、海外の良質な商品を中国の消費者に届けるという重要な役割を担っています。
まとめ
Tmall Global(天猫国際)は、中国法人を設立することなく、巨大な中国市場にアクセスできる非常に魅力的な越境ECプラットフォームです。Tmall(天猫)とは異なり、海外企業が直接出店できる点が最大の特徴です。
出店には一定の条件や高額な費用が必要ですが、アリババグループの強力なブランド力と販売インフラを活用できるメリットは計り知れません。
本記事で解説したメリット・デメリット、出店条件や費用、開店までのステップを参考に、ぜひ貴社の中国市場戦略の第一歩として、Tmall Globalへの出店を具体的に検討してみてはいかがでしょうか。
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